全国公的扶助研究会

 

生活保護ケースワーカー人権宣言

~2018年5月13日 全国公的扶助研究会2018年度総会〜 

1 貧困の拡大 

今の日本社会は、貧困率の高止まりに明らかなように、誰が生活困窮状態に陥ってもおかしくない社会と言ってよいほど貧困が拡大している社会です。また、貧困が拡大する下では、社会保障制度によって、市民生活は守られなければなりませんが、近年の社会保障制度は、残念ながら、保険料と利用時の一部負担の増額、年金などの給付減、介護保険の給付制限など後退の一途をたどっています。こうした状況は、社会保障制度のなかでの生活保護制度の比重を高め、生活保護制度の「出番」ともいえる状況が作り出されていることを示しています。

こうした状況を踏まえ、私たち生活保護ケースワーカーは、利用者の生存権や幸福追求権などの基本的人権の確保を支援すること、またそのためには生活保護ケースワーカーの人権(労働権や研修権など)が守られなければならないことをここに宣言します。

2 生活保護ケースワーカーの責務と目標

(1) 基本的責務

私たちは、現代社会において、憲法25条と生活保護法の重要性に鑑み、私たちが利用者の命の重みを背負っていることを自覚し、利用者の立場に立って、生活保護制度の最大限の活用に努め、利用者の生存権や幸福追求権をはじめとする基本的人権を保障するために努力します。

(2) 実施要領の最大限活用

私たちは、生活保護の仕事において「骨」ともいえる生活保護手帳・実施要領を駆使して、利用者の最低生活の保障と自立支援に努めます。

(3) 利用者本位の生活保護実践

私たちは、生活保護の仕事において「肉」ともいえる生活保護ケースワークを実践するに当たり、利用者のニーズに基づき、その人らしい生活の実現のため、利用者に寄り添い、利用者本位のケースワーク実践をめざします。

(4) 目標

私たちは、このような実践を通じて、利用者とともに命を輝かすことを目標とします。

3 利用者本位の生活保護実践のために

(1) 生活保護ケースワーカーとして必要な社会保障、社会福祉、生活保護の知識の修得

私たちは、貧困の原因である様々な問題の軽減除去のための、広範な社会保障、社会福祉をはじめ、生活保護制度の知識を日々学び、深め、利用者のニーズに合わせて、様々な関係機関と連携して、支援のために活用します。

(2)  生活保護ケースワーカーとして必要な対人援助技術の修得

貧困が人間を通じて現れることから、ケースワーク実践には、対人援助技術が必要となります。貧困は人間の可能性や潜在能力を抑圧し、様々な苦難の中に置く要因となります。私たちは、利用者の思いをしっかり受け止め、ともに生活問題に対処する姿勢を示して、これからの支援の計画を立てて、利用者と力を合わせて、その解決を支援します。

(3) 個人の尊重、生存権を保障するという価値を身につけ実践する

 私たちは、こうした知識と技術を生かすために、憲法13条、25条などの基本的人権を土台にして、生活保護実践に取り組みます。また、貧困の原因は社会にあり個人にはないことを踏まえること、さらに利用者の人格を尊重し、パターナリスティック(弱い立場の人に自分の考えを押し付ける)な対応は厳に慎み、利用者本位の支援に徹します。

(4) 自治体内、関係機関、地域住民との理解と協働を進める

私たちは、地方自治体で働く公務員として、利用者一人ひとりが地域で安心して生活できるよう最善をつくすとともに、庁内、関係機関、地域住民に制度への理解を促し、利用者を中心とした連携・協働のもとに、生活保護実践を通じて住民の福祉の増進に努めていきます。

4 生活保護ケースワーカー、査察指導員が置かれている現状を改善し専門性を確保する

(1) 私たちは、法に定められた標準的な職員配置基準である、保護世帯80世帯(郡部では65世帯)に対して1名以上の生活保護ケースワーカーの配置、及び生活保護ケースワーカー7人に対して1名以上の査察指導員の配置を求めます。

(2) 私たちは、生活保護実践の専門性を確保するために必要な研修の確保や、職場外でのセミナーなどへの研修の機会を保障することを求めます。

(3) 私たちは、生活保護ケースワーカー、査察指導員の採用、任用、配置、異動において、福祉職、専門職の採用をはじめ専門性が確保されることを求めます。

(4) 以上の内容が確保されるよう、全国の関係者とつながり、調査研究を進め、働きかけていきます。

以 上

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